ニューヨーク 2009

 

9月17日。

成田を飛び立って一路ニューヨークへ。

気候が不順なのでセーターからTシャツ迄大荷物。

アッパーウエストのホテルに着いたその夜、

55Barへデイブ・リーブマンを聴きに行く。

コルトレーン直系のばりばりの硬派のテナー奏者。

目の前で聴くことができた、本物はすごい。

70歳を過ぎて足を引きずりながらの熱い演奏。

2部も聴いていけと言われたのに残念だった。

今回のジャズクラブ巡りでの一番の収穫。

  

2日目、午前中ブルックリンブリッジを歩いた。

ブルックリンの庶民的なことカフェのお姉さんが、

どこを歩いたらいいのか親切に教えてくれる。

スティーブ・コールマンがファイブ・エレメンツを立上た所。

とても黒人が多いけれどなんてフレンドリーな事か。

ここに住んでマンハッタンに通う人多いようだ。 

 

2日目の夜”イリデューム”にクリスチャン・マクブライトを聴きに。

やはりびっくり、完全にモアマネーのジャズクラブになっていた。

今回ニューヨークのど真ん中でものすごいエピソードがあった。

チャージはわかっていたのだがミニマムタックスサービス料、

足りなくなりそうでびっくり、カードをホテルに預けてきてしまった。

演奏そっちのけで小銭迄出して数えている始末。

ステージからyou enjoy?とマクブライトに声をかけられた。

やむなくgoodと答えたが全然goodじゃないのだ。

4ドル残ってようやく何とか払えそう、これで地下鉄で帰れる。

マクブライトは今ものすごく売れている黒人べーシスト。

強靭なベースワーク、まだ30代後半将来ものすごくなりそうだ。 

 

3日目、日中セントラルパークを歩く。

緑の木もれ日が‥。

2年前とは季節がちがう、こうもちがうのかと‥。 

 

なつかしいセントピータース教会へジャズの資料などもらう。

ここにくると何故かほっとする、ここですごいジャズ又聴きたい。

  

3日目リチャード・ボナを聴きにジャズスタンダードへ。

ボーカルも聴かせるフュージョン系のべーシスト。

2年前に来た時はとても良心的なクラブだった。

しかしもうすっかりモアマネーの店に変わっていた。

オランダのノースシージャズフェスでも聴いたけれど‥‥。

ここはがんばってチャージとワンドリンクでカウンターに。

 

その後ホテルの近くにあるスモークというジャズクラブに。

エディ・ヘンダーソンがでているというのではしごした。

ここもやっぱり詰め込んで食事をさせる店のようだ。

数年前まで無名のエリック・アレキサンダーなど、

盛んにジャムセッションをしていたそうだ、考えられない。

隣に座っていたカップルなど次々に料理を注文して、

聴いていないのに今日の演奏はすばらしいなどと。

もう聴かせる店ではなくなったのだ。とてもさびしい。

繊細なトランぺッター、エディ・ヘンダーソン形無し。 

 

4日目はカナダ・モントリオールへ汽車の旅とつづきます。

朝8時に出発して12時間をかけてのゆっくりとした旅。

 

モントリオールは毎年盛大なジャズフェスが開かれる。 

しかし今はとても静か。

 

5日目、旧市街からダウンタウンへ。

うわさには聞いていたがこの国なんかしっとりと感じる。

少し休んで、持ってきたロングスカートにはきかえて、

小さなジャズクラブにでかける。ウエーターの素朴な様子。

初老のピアニストが淡々とスタンダード弾いている。 

 

6日目、観光バスで有名なメープルパークへ出かけた。

この国はドアーに鍵をかけなくても全然安全だと、

どこかで聞いたことがある、ほんとうかもしれない。

道に迷っていたら向こうからさりげなく教えてくれた。

コペンハーゲンもそうだった、心の豊かな国ここにも。

ここに住みたいという人の気持ちわかるような気が。

明日は長距離バスでニューヨークへ戻ります。

 

7日目、グレイハウンドバスで思わぬ思わぬハプニングが。

長距離なので眠っていこうとすぐ眠剤を飲んでしまった。

ところが果てしなく広がる大地を走りつづけていたバスが、

止まって国境検閲が、全員荷物を持って下ろされる。

中身を調べていた係官がカップラーメン、梅干、江戸そばを、

手に取っていぶかしそうに調べていたそうだ。

というのは私は眠剤のせいで足元がふらふらと危なく、

ほとんど記憶がないのです。うっすらと女性係官が

思い出される、皆に迷惑をかけてしまった。

 

ニューヨークに着いたときにはすっかり元気になって、

前に行った事がある”スモールズ”に出かけてしまった。

なかに入ってびっくりものすごい盛り上がりのフルバンド。

横にいた女性など踊りまくっての熱狂ぶり‥‥。

ここでニュージャージーから来たという男性と知り合う。 

ジャズを楽しむってこうよね、めちゃめちゃ楽しかった。 

 

8日目かねてから行きたかったハーレムに出かけた。

ホテルから地下鉄ですぐ最初はちょっと緊張したが、

2年前来た時より大分変わった。全然怖いという印象がない。

たしかに黒人は圧倒的に多いが険悪なムード全然ない。

一歩入った裏通りは人影もなくさびれた感じだったが

捜していたジャズミュージアムの建物の中に入ったら、

なんと東京中で捜していた”a day greated in Harlem”という、

ポスターを見つけたのだ。うれしかった。ここのスタッフが、 

ポスターを売っている店まで案内してくれすっかり仲良しに。

 

かえりベビーカーを押していた黒人女性に声をかけられ、

シャンプーの匂いがいいどこで買ったかと、なんて人懐っこい。 

日本人のハーレムは危ないという先入観変えたほうがいい。

 

その日の夜”ジャズギャラリー”という小さなクラブに白人トリオを聴きに。

前夜とガラリと変わって北欧ジャズを思わせるピアニスト。

知的で真摯洗練された若い彼らに好感度大、楽しみです。 

 

9日目午前中ハドソン河の辺リバーサイドパークを歩く。

 

 

最後の夜バリー・ハリスを聴きに”ジャズ・スタンダード”へ再度。

50年代から変らぬスタイルで弾き続けるモダンジャズの重鎮。

80歳を過ぎても尚最後迄やりつづけようとする姿感動ものです。

 

そのあと足を延ばしてジョン・ゾーンの根城”ストーンズへとはしご。

観光客のツアーコースになっている店はできるだけ避けて、

意欲的な小さなクラブを故意にさがしまわったが、残念だけれど、

ニューヨークはもうモアマネーの店ばかりになりつつある。

きびしい不景気ホテル代はものすごく高い、どこの国も同じだが、

凡てが住みづらくなっているのに彼らは何故か明るく親切。

今の生活を楽しんでいるように見えた(本当は違うのかもしれない)

 

帰途に着く機内で同席した日本女性と黒人の小さな女の子、

どうしているかな、いろいろな人との出会い、忘れられない。

今回の旅を終えて短期間だったけれど集中的に9ライブ聴いた。

これから益々ジャズを深めていこうという気持ちつよくなった。