熱いキューバから、優しくなったニューヨークへ

 

2002年2月25日から3月7日まで、メキシコを経由してキューバへ、そしてニューヨークへと行ってきました。キューバのジャズが聞きたくて、2ヵ所のジャズスポットに足を運んだ。

“JAZZ CAFE”というライヴハウスで聴いたキューバンジャズの熱いこと、熱いこと。

サックスがメインのカルテットだったが、“枯葉”がまるでキューバのリズムに変わってしまうし、“ミスターPC”のボンゴが激しいアドリヴになっていく。

その演奏は自由で力強く、エネルギーいっぱい!彼らの商業主義にとらわれない純粋さに感動した。 

キューバでは教育と医療は無料、才能があればどんどん伸ばしていくことができるのだ。

 キューバの人々は、皆人なつっこく、気軽に声をかけてくる。生活はとても貧しいが、表情はとても明るい。

映画“ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”で有名になった人たちと同じぐらいうまい人たちが、そこかしこでキューバ音楽を演奏している。

真っ青な空、エメラルドグリーンの海、音楽の流れる街角、ヘミングウェイの愛したバー…。

何もかもがなつかしい。

 このまま、いつまでも変わらないでいてほしい。カストロの時代に来れて本当によかったと思う。    

ハバナのジャズスポット“La Zorra Y El Cuervo”

 

 キューバからまたメキシコを経由して、ニューヨークへ。

 ニューヨークは変わった。

13年前にジャズフェスティバルで来たきりなので緊張していたが、夜中の地下鉄も怖くないし、道を聞いてもとても優しい。

ニューヨーカーはあの出来事で傷つき、人の痛みがわかるようになったのではないかと思う。

 グランド・ゼロに行く。順番待ちをしている間、壁にたくさんのメッセージが書いてあるのを見る。私もメッセージを書き記す。

 ニューヨークで行ったジャズクラブは…“ニッティング・ファクトリー”(なんと尺八・沖縄三味線・ウッドベース・ドラムのカルテット。無名だが素晴らしかった)、“スモールズ”(小さいが熱気があふれ人も一杯)、“トニック”(ここは興味があって探しまくってやっと見つけた)、“ヴィレッジヴァンガード”(ロイ・ハーグローヴクインテットを聴く。すっかりトップスター)。

 どのライヴハウスも活気があって盛況なのに、なぜかとても優しかった。