アメリカの友人

 ドイツ映画だったか“アメリカの友人”という映画を見たことがあったけれど、今年の4月18日から25日まで、ウィスコンシン州マディソンにベ-シストの友人を訪ねた。

 

 ミネアポリスを経由して小さなマディソン空港のタラップを降り立った時は、一人でここまでやって来た緊張感がいっぺんにゆるんだような気がした。ターンテーブルで荷物を受け取る間もなく、彼はデニムのロングコートに黒のハンチングの帽子を被って満面笑みをたたえながら現れた。

七ヶ月ぶりの挨拶、大きな体に包まれると思わず彼の暖かさが伝わってくる。

 

 リザーブしてもらったホテルから毎日のように、ウッドベースがごろごろしている彼のリハーサルルームやウィスコンシン大学の講師をしているオフィスに連れて行ってもらった。 彼は来日した折、長崎の原爆被爆者に多額の寄付をしており、長崎市長からの感謝状が額に納められていた。

 

 彼のベースからは何よりもパワーが、沸き立つエネルギーが伝わってくる。

 アドリブソロのクライマックスは本当に攻撃的で圧倒されてしまった。アルコの名手!豪腕ベーシスト!

 

 一週間はまたたく間にすぎて、帰国の日が来た。プレゼントした腕時計をとても気にいってくれたこと、広重の東海道五十三次の版画をとても興味深く見入っていたこと…。思い出すと懐かしさでいっぱい!

 すばらしい思い出をありがとうと言いたい。

 

 彼の最後まで誠実な人間味あふれる人柄、ジャズという一つのことをやり続けてきた人のにじみ出るような魅力、改めて尊敬とフレンドリーな気持ちを強く感じた。 私もジャズを奥深くまで極めようとますます心に誓った。

 彼の名は…“リチャード・デイヴィス”